着せ込み 着せ込み

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実際の着物と同じつくりで衣装を作り、人形へ着せ込んでいく「総着せ」「本着せ」などが格が高い。

いわゆる糊付けによって形だけ整えた物なども出回ることが、買わないほうが良い。

総着せ

実際の着物と同じつくりで衣装を作り、人形へ着せるやりかたです。
リアルなのはもちろんなんですが、人形師の腕によっては着膨れしたぼってりシルエットになってしまうのが困り物。

  • 唐衣:総裏仕立て
  • 表着:本仕立てで浮織物に別の横糸で上文を織り出した「二倍織物」。
  • 五衣:実際の十二単と同じように衣を五枚重ねています。表側・裏側共、和紙を袋張りにし、裏打ちをしてから額縁仕立てにしています。

総着せの殿の衣装。
「黄丹」(オウニ、またはオウダン)と呼ばれる皇太子の着用色です。
「黄丹御袍」(オウニゴボウ)と呼ばれます。
写真の物は「瓜に鴛鴦(かにえんおう)(図右下)を用いていますが、「鴛鴦丸(えんおうのまる)」と呼ばれる紋様を使ったものも存在します。どちらも間違いではありません。近例に従ったのが写真の物と言うだけです。

本着せ

着物を部品単位に分け着せ込んだときに合わせるやり方で、シルエットを作りやすく、すっきりと見た目がまとまるのが特徴です。
ここの写真は人形師「天鳳」さんの、一工夫した本着せ(実用新案取得済み、天鳳堂さんだけでしか作れない物だそうです)。
人形師それぞれの努力がある、ということですね。

  • 唐衣:総裏仕立て
  • 表着:本仕立てで浮織物に別の横糸で上文を織り出した「二倍織物」。
  • 五衣:実際の十二単と同じように衣を五枚重ねています。表側・裏側共、和紙を袋張りにし、裏打ちをしてから額縁仕立てにしています。

表着(打掛け)を着物と同じように作り着せ付けた、天鳳独自(実用新案)の仕立て。人形仕立ての雛の表着(打掛け)は、上半身・下半身・袖を別々に作り組み合わせている。

それ以外

いわゆる糊付けによって形だけ整えた物。普及品専門と言って良く、「総着せ」や「本着せ」に比べればかなり格が落ちます。

今時こういうつくりの物はめったにありませんが、あっても買わないのが吉。お店によっては「総着せ」を「本着せ」、「本着せ」を「○ピース方式」と書くこともありますが、運営者は木目込人形と対比させるために上記のように分けています。

人形師の好みでどちらを使うか決まるため、一概に「総着せ」と「本着せ」どちらかが高級と断定することはできません。大事なのは全体のつくりなのです。